【公演レポート】両ユニット、初の朗読劇バトル! 新感覚朗読劇ボイスト10 ~Voice & Stories 予選Bブロック 『Peek a Boo! vs.UNDERCΦDE』~
ボイスト好きな「ボイスター」な皆様、こんにちは!
今回は「ボイスト10 ~Voice & Stories 予選Bブロック『Peek a Boo! vs.UNDERCΦDE』~」の公演レポートをお届けします。
なお、昼公演はただいまYouTubeにて無料で配信中です!
ボイスト10 ~Voice & Stories 予選Bブロック『Peek a Boo! vs.UNDERCΦDE』~
ボイストとは?
個性的なキャラクターが3人1組のユニットを組み、
自分たちでオリジナル脚本を作り
朗読大会『Voice & Stories』に挑んでいく物語。
朗読大会『Voice & Stories』は優勝すると「なんでも1つ願いを叶えることができる」と言われており、ボイストに参加するユニットはそれぞれに叶えた願いを持っています。
朗読大会『Voice & Stories』は、予選→本選→決勝トーナメントで構成され、予選はブロック制の総当たり戦で行われています。(現在A・Bブロックが開幕中!)
作品は「日常パート」と「朗読パート」で構成され
2つのパートを楽しんでいただけるのも魅力のひとつです!
・日常パート:キャラクターたちの日常のお話
・朗読パート:キャラクターがボイストオリジナル脚本を朗読
ボイスト10 あらすじ
熱血青春ボクシング部 VS 封印されし名前の少女たち !!
ついに始まったボイスト予選Bブロック。
今回の審査内容は音楽をモチーフにした脚本でタイムアタック!!
練習のためカラオケ店にやってきたUNDERCΦDE。
闇の財力でビルごと貸し切ったものの、なかなか歌いだせない闇と冥。その様子にしびれを切らした哀が・・・?
一方、Peek a Boo!の3人はボクシングの練習試合の最中。負けてしまった穂紬を励ますはっちゃん先輩と伊月。元気を取り戻したように見せた穂紬だが、伊月の前では不安を漏らし意気消沈。
このままじゃボイストの大会も負けちゃうかも!?
Voice & Stories 予選大会、少女たちの夢をかけた熱い朗読バトルが始まる!
登場人物
▼ UNDERCΦDE
キラキラネームのせいで他人から嘲笑され続け生きてきた三人。
彼女たちの隠されし名は、
神宮司 藍玉(じんぐうじ あくあまりん)
城ヶ崎 雲母輝綺羅々(じょうがさき きららききらら)
花園 らぶ(はなぞの あい)。
通称、闇・冥・哀。
オフ会で知り合った彼女たちは、お互いの不遇の人生に別れを告げるために、一念発起し朗読大会に挑戦する。
過去を全て洗い流し、フツーの名前で生きていくことを切望した彼女たちの願いは、ただ一つだけ。
キラキラネームを改名する!
▼ Peek a Boo!
たった三人の狭間高校女子ボクシング部。
日々トレーニングに励んでいた彼女たちに悲報が舞い込んできた。
「次回のオリンピックからボクシング・ライトフライ級は廃止されます」
オリンピックで金メダルを勝ち取ることを夢に生きていた蜂堅は自らの夢が二度と叶わないことを知り、生きる気力すら失った。悲嘆にくれるキャプテンの姿を目の当たりにし、後輩二人も練習どころではない。
だがそんな時、彼女たちは思い付く。
ボイストで優勝すれば願い事が叶うはず……!
優勝して叶えたい願いは一つ
「ボクシング・ライトフライ級をオリンピックに復活させる!」
いま、ボクサー女子たちによるボイスト開戦のゴングが鳴り響く!!
公演レポート
「ボイスト10」は、2024年6月9日 (日) に開催され、昼夜2回公演。会場は恵比寿・エコー劇場だ。
「予選Bブロック」と銘打たれ、「UNDERCΦDE」と「Peek a Boo!」の2組・計6名による朗読劇バトルが繰り広げられた。
「UNDERCΦDE」と「Peek a Boo!」の両ユニット共に初の予選大会となり、それぞれ「朗読劇バトルとは何か?」という緊張感が漂っていた。
その緊張感の中、会場のスクリーンにはいよいよオープニングが流れる。
UNDERCΦDE 2nd Single となる、闇(CV.小峯愛未)の歌う「SCAPEGOAT」と共に、ダークな雰囲気漂う映像と音楽が会場を満たした。
オープニングが終わり「UNDERCΦDE」の3人が現れる。
闇 ・哀 ・冥は、どうやらカラオケボックスに訪れたようだ。
でも、どうしてカラオケボックスなのか? その謎はボイストの大会のお題に理由があるらしい。
しかし、その理由が明らかになる前に、闇のお嬢様っぷりが炸裂する。
「あ、闇って、そんなことまでできちゃうんだ」「闇はやっぱりお嬢様 of お嬢様だったんだ……」と笑い声や驚きのため息が会場の観客たちからは聞こえてくる。
そうこうしていると、唐突に「Peek a Boo!」の3人も壇上へ。
「え? そんな入り方ある?」と会場を熱気と笑いの渦に巻き込み「Peek a Boo!」は再び去っていく。嵐のような「Peek a Boo!」の登場と退場シーンであった。
「UNDERCΦDE」も気を取り直して、物語が進む。
ここで彼女たちがカラオケ店にいる理由も明らかになる。どうやら、今回のボイストの朗読劇は「29秒で歌を歌うこと」というお題が組み込まれていたようだ。
「UNDERCΦDE」の闇は人前で歌を歌うのが苦手、冥はそもそも見られることが苦手。そういう2人がいるからこそ、カラオケで特訓というわけだ。
3人しかいないカラオケボックスの中ですら「歌うのが恥ずかしい」と逃げ回る2人に、哀は伝える。「歌わなくてもいいから、マイクを使って『好きな麺類は何か』を喋ってみなよ」と。
なぜ「麺類」なのかについては、誰も言及せずに、素直に「好きな麺類」をあげる「UNDERCΦDE」たちの純真たるや。
ここでボイスト恒例とも言える「演者によるアドリブ」が入る。
しかし、この「好きな麺類」に関するアドリブを巡って「アフタートーク」内で一悶着がある。気になる人は、本編後にある「アフタートーク」をチェックしてほしい。チェックしてほしいところではあるが、まずは本公演を全て見てからにしてもらいたいのが、筆者の願いである。
「UNDERCΦDE」がカラオケで歌の練習に励む中、対戦相手である「Peek a Boo!」の出番となる。
「Peek a Boo!」はボクシング部に所属する高校生ということもあり、登場は臨場感溢れるボクシングシーンから始まる。どうやら1年生の穂紬が他校と練習試合をしているようだ。
結果は残念だったようだが、善戦したことを讃える穂紬の先輩である燿子と伊月。3人のボクシングにかける本気と仲の良さを感じさせる。
試合のクールダウンをしていると、ボイストからの連絡が届く。予選で戦う対戦相手と朗読劇のお題のようだ。
が、その話を聞いた瞬間から燿子の様子がおかしい。
燿子は筋金入りのアイドルオタク。そんな燿子は、ボイストの予選Aブロックに参加しているユニット「ダンデライオン」の朝比奈ひなたさんを強く激しく推している。
「まさか、ひなたちゅんに会えたりしちゃう!?」と興奮する燿子に対し、「ダンデライオンはAブロックだから、まだ戦わないでしょ」と伊月が切る。普段は部員を引っ張っていく燿子のプライベートな一面が垣間見れる、貴重なワンシーンと言える。
改めて、ボイストのお題の話に戻る3人は、どうしてお題が「歌を歌う」なんだろう? と疑問に思う。
「そうか、対決の日が6月9日だからだ」と気付いた燿子に対し、穂紬の天然ボケと伊月のノリツッコミが炸裂する。
なるほど、彼女たちの作る朗読劇がコメディタッチなのは、こういった素質からなのかもしれない……などと思う観客の皆さんがいたとかいないとか。
そうこうしていく中で、いよいよ朗読劇バトルが開始する。
朗読劇の最初は「UNDERCΦDE」から。
『山月記Theロック』という中島敦氏の『山月記』をベースにした朗読劇のようだ。
『山月記Theロック』は、3人の幼少期から始まる。
子どもらしい、少し舌足らずな3人に心打たれる観客が続出したことはいうまでもない。
その3人は成長し、私立ボイスト学園の管弦楽部に所属する学園の3女神(ミューズ)として尊敬を集めているようだ。
だが、その中の1人が「面白い演奏ができるように、僕は虎になる」と言い始めたものだから、大変だ——という話なのだが、続きはぜひ朗読劇をご覧いただきたい。
なお、お題である「29秒で歌を歌え」については、「UNDERCΦDE」らしい独特の世界観が本公演の一つの見ものとなっている。
このお題をクリアする場面は昼公演のみならず、どうか夜公演もチェックしてみていただきたい。夜公演こそ「こいつら——というか、アイツは、正真正銘、本物のロック野郎だぜ……」と誰もが舌を巻くと同時に、笑い過ぎて腹筋が痛くなるに違いない。
そんな「UNDERCΦDE」の『山月記Theロック』は、笑い多めで、最後に綺麗な感動を味わえる極上の朗読劇と言えるだろう。
また、管弦楽部所属の3人組というだけあって、劇中で流れる音楽にもかなりのこだわりが感じられる。ぜひ劇中の音楽にも耳を傾けてほしい。
さて、お次は「Peek a Boo!」の朗読劇となる。
『終末ロックフェスティバル』というなんだか物騒なタイトルの作品だ。
朗読劇の第一声は、燿子演じるヨウの声。
「こんにちはー! 苗場のみんなー、盛り上がってるーーー!?」
恵比寿・エコー劇場だったはずが、一変してロックフェスティバルの会場へと観客たちを誘う。
だが、どうやら「終末」というタイトル通り、地球滅亡が数時間後に迫っていることがわかる。
「そんな中でフェスを開催しているとか、マジロックだな!」と言わざるを得ないだろう。演奏する3人のみならず、観客やスタッフなど、このフェス会場に集まっている全員に対して敬意を表したくなる。
そう、彼女たち3人は、そんな音楽を愛した全員の想いを背負って演奏をするのだ。地球最後の瞬間まで——という話なのだが、地球最後の日の魂の叫びを皆さんにも受け止めていただきたい。そして、物語の結末がどう転ぶのかは、どうか皆さん自身で確認していただきたい。
また、お題である「29秒で歌を歌え」については、「Peek a Boo!」らしいストレートで、明るく熱い歌声に心を打たれる。「終末のロックフェスティバル」で歌を聞くとしたら、きっとこんな気持ちになるのだろう……そう思わせてくれる魂のこもった歌声をどうか聴いてほしい。
そんな「Peek a Boo!」の『終末ロックフェスティバル』は、明るさと切なさを織り交ぜて感動をさせつつも、「お、まさかそういう終わり方!?」と期待を裏切る、ある種でコメディタッチが好きな「Peek a Boo!」らしい物語となっている。
さて、こうして予選Bブロック『Peek a Boo! vs.UNDERCΦDE』の朗読劇バトルは幕を閉じる訳だが、勝者についてはここで名言はしないでおこう。
そうして、「朗読劇パート」が終わると、再び「日常パート」へと戻る。
朗読劇バトルが終わった後は、ボイストマンシップに則り、お互いの健闘を讃えあう2組——となるはずが、やはりそこは初対面の気まずさというものは存在するようで……
2組とも気にはなるけれど、声がかけられない、という状況でドギマギ。
と、そんな状況を打破するためにやってきたのは、他でもないボイスト恒例の「マルチエンディングシステム」だった。
「声をかけるべきか否か、拍手によって教えてください!」と天の声が観客へと語りかけてくる。観客の笑い声が、いつしか空気を読みあう観客の戸惑いに変わっていくのもボイストならではかもしれない。
声をかけるべきか否か。あなたならどうしますか?
その答えは、配信でチェックしていただきたい。
さて、ボイスト10もいよいよ佳境。
それぞれのユニットのカラーはありつつ、「次回もお互いに頑張ろうね」と励まし合う2組の姿に清々しさを覚える。
だが、忘れてはいけないのは、これが「朗読劇バトル」ということだ。いかに素晴らしい朗読をしようとも、勝者と敗者が決まってしまうのが、ボイストなのである。どちらのユニットが勝ったのか、夜公演も併せて確認してみてほしい。
そうして、最後の一言が告げられると、壇上の6人が頭を下げる。
観客からは盛大な拍手が贈られ、今回の『Peek a Boo!』と『UNDERCΦDE』の物語は幕を閉じるのだった。
キラキラネームを持つ闇の少女たち「UNDERCΦDE」 対 ボクシングとボイストを両立する陽の者である「Peek a Boo!」という対極にあるユニットの朗読劇。両ユニット共に朗読劇バトルとしては初の公演ということもあってか、いささかの緊張感が漂う中で始まったものの、終わってみれば、笑いと感動に満ち溢れた時間だったと言えるだろう。
そんな素晴らしい朗読劇を見せてくれた「UNDERCΦDE」と「Peek a Boo!」の皆さんに、改めて心より盛大な拍手を送りたい。
最後に……
昼公演はただいまYouTubeで無料配信中!
アフタートークも含め全編楽しめます!
まだ観ていない方・何度でも観たい方、そして、ボイストを布教したいあなたにオススメです。
夜公演は、「ニコニコチャンネル+」の『ボイストチャンネル』にて配信中です。ぜひ昼夜どちらの公演もお楽しみください。
また、ボイストの詳細情報は、ボイスト公式ホームページ、もしくは、ボイスト公式Xにて確認してください。
なお、「ニコニコチャンネル+」の『ボイストチャンネル』に会員登録すると、本編やアフタートークなど過去の配信が何度でも楽しめます。
それでは、また「劇場」もしくは「配信」でお会いしましょう!!
文:ボイスト研究員ナカタニ
写真:橋ケ谷典生